数学

曲面の第1基本形式

次の式は微分幾何の分野で学習する曲面の第1基本形式。 「上のような式で示されるのが第1基本形式だと教わるけど、これが何を意味するのか、どうして大事なのか、さっぱりわからない。」 第1基本形式というのは、曲面の形を説明するための式。 人間は目で見…

レイリー商(Rayleigh 商)

レイリー商とは、2 次形式の最大値, 最小値を求めるのに便利な道具。例えば 「という条件のもとでの最大値、最小値を求めよ」 というような問題がすぐに解ける。2次形式というのは、 のように、次数が2の多項式で表される式の形。これは、うまく変形すると …

ガウス関数の手抜き理解

統計でも物理でも画像処理でも、どこにでも出てくるガウス関数(正規分布)。 だいたい次のような形の式で表現される。 数学が嫌いだったり、数学アレルギーだったりすると、もうこれだけでダメ。 この式は、「つりがね型」と言われる、次のような曲線を作る…

Googleでの数式検索が3D対応していた

いつのまにか、Googleでの数式検索が3D対応していた。x, yという2つの変数で表された関数の値をzと取るような、3次元空間上の2変数曲面の表示がサポートされたわけだけど、 具体例を挙げてみると、数式 「(x^2+( (2.8 y)/2-(x^2+abs(x)-8)/(x^2+abs(x)+2))^2…

New York Times の NUMBERPLAY

昨日のエントリ「2つのボールをぶつけると円周率がわかる」は、 New York Times の The Pi Machine の記事の内容を紹介しただけだったのに、約24時間で700以上のはてなブックマークがついてしまい、驚いている。このブログの過去最高のブックマーク数を超え…

2つのボールをぶつけると円周率がわかる

一か月ほど前に New York Times で紹介されていた記事。The Pi Machine - NYTimes.comここで紹介されているのは、なんと驚くべきことに、2つのボールをぶつけるだけで円周率(3.1415...)の値がわかる、という内容。 これだけだと、全然ピンとこないと思うの…

数式掛け時計「Math Clock」

掛け時計の盤面の数字を数式に置き換えた「Math Clock」が楽しい。 と、書いてもイメージがわかないかもしれないけど、下の写真を見れば一目瞭然。 1から12の数字の代わりに、数式が記されている。 上の時計の式は、小中学生向けレベルの算数だと思ったけど…

行列の分解(Matrix Decomposition)

いろいろな場面で、ある行列を複数の行列の積の形に置き換えることが行われる。これを行列の分解(Matrix Decomposition)と言って、これまでに様々な分解方法が考案されている。なんのために行列を分解するのか?行列を分解することで、計算を速く行えるよ…

重心座標系(Barycentric coordinate system)

三角形ABC内の点Pを、別の三角形A'B'C'内の、それっぽい場所P'に対応させたい。 P'の位置はどのように決めたらいいだろうか。それっぽい場所。。って、曖昧すぎる。そこで、重心座標系(Barycentric coordinate system)が用いられる。 三角形ABC内の任意の…

数学セミナー:P≠NP予想最前線

今月(2013年12月)の数学セミナーの特集が「P≠NP予想最前線」だった。 これは読んでおかなければ。数学セミナー 2013年 12月号 [雑誌] : P≠NP予想最前線出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2013/11/12メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る

「イラレの円は本当は円じゃない」というけど誤差はどれくらいなのか

次の記事が興味深かった。 ■ イラレの円は本当は円じゃない http://d.hatena.ne.jp/n-yuji/20131017/p1 Illustratorの楕円ツールで書く円は、本当は円(wikipedia:円 (数学))ではなくて、近似値なんです。つまり、円としてはわずかに歪んでいるわけ。これは…

∀と∃

数列の収束について学ぶと、次のような記述を目にする。&space;0,&space;\exists&space;n_0,&space;\forall&space;n&space;>&space;n_0,&space;|&space;a&space;-&space;a_n&space;|&space;これはいったいどのように理解したらよいだろうか。アルファベット…

トポロジーとホモロジー群

ホモロジー群について、とてもわかりやすく解説しているスライドを見つけた。 広島大学の平岡先生によるものだ。■ ホモロジー群とその応用 (平岡 裕章 | 広島大学理学研究科) http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~hiraoka/applied_homology_for_non_math.pd…

微分積分・線形代数の計算ドリル

大学に入って数学につまづく原因の1つに、練習問題の数が少ないことが挙げられるのではないだろうか。 振り返ってみれば、小学校時代から「算数」と言えば、計算ドリルだ。 高校になっても、とにかく問題の数をこなして、その中で数学の基礎力を身に付けてき…

数学的冒険 CHAOS (カオス)

2008年に登場した「数学の散歩道 Dimensions」の動画には驚嘆した。 見事なCG映像で数学の「射影」の世界を紹介した一連の動画は、見ているだけで楽しくワクワクさせられた。 これについては、ずいぶん前に紹介した。 それから5年。新しく「数学的冒険 CHAOS…

フーリエ級数展開の式を理解する(2)

前回のエントリで、次のようなフーリエ級数展開の公式を紹介した。そして、この式は次のようなことを言っていることを確認した。== 関数 f(x) は、様々なcos波とsin波の足し合わせで表現できる。 どれくらいの割合で各周波数のcos波とsin波を足し合わせるか…

フーリエ級数展開の式を理解する

フーリエ変換。もう少し正確に書けば、ここでは「フーリエ級数展開」とは、与えられた関数を三角関数(cos と sin)の足し合わせで表現するというもの。 この直観的なイメージは下の図で表すことができる。(図の出典:フーリエ変換の本質:MetaArt)このよう…

統計のための行列代数

線形代数の学習書の中で、丁寧な説明がわかりやすいと評判の「統計のための行列代数(D.A.ハーヴィル著)」を読み始めてみた。統計のための行列代数 上作者: D. A.ハーヴィル出版社/メーカー: 丸善出版発売日: 2012/04/05メディア: 単行本(ソフトカバー)購…

固有ベクトル・固有値

線形代数を含め、様々なところで顔を出す固有値と固有ベクトル。 そもそも、固有値と固有ベクトルとは何者なのだろうか? 行列は、あるベクトルを、異なるベクトルに変換する。 たいていの場合、行列による変換前のベクトルと、変換後のベクトルは違う方向を…

全域木

日本情報オリンピックのためのトレーニング合宿で使用されたらしいスライド。様々な全域木問題:前原貴憲 閲覧用のURLはこちら http://www.slideshare.net/tmaehara/ss-17402143 全域木(英語表記は Spanning tree、「極大木」とも呼ばれる)は、グラフ理論…

双曲幾何学のタイリング

ユークリッド幾何学は平面上の幾何学で、曲率がゼロの幾何学とも言われる。無限に広がる平面空間を扱う。 一方で、曲率が負の空間を扱う「双曲幾何学」という分野もある。この世界では、三角形の内角の和は180度より小さくなる。 有限の大きさの図で無限の大…

ベクトルの内積とは

二つのベクトルa, bがあるときベクトルaとbの内積は次のように表される。したがって 「ベクトルの内積って何?」 という質問に対しては 2つのベクトルの要素を順番にひろって、それらを掛け合わせたものを全部足したもの と答えることができる。 ベクトルが2…

写像:単射、全射、全単射

AからBへの写像fを考える ■単射 Aの要素が、それぞれ異なるBの要素に写されるとき、写像fは「単射」であると言う。 異なるAの要素が、同一のBの要素に写されてはいけない。 ■全射 写像によって写されたものが、Bの要素すべてと一致するとき、写像fは「全射」…

プログラミングで理解する反射律・対称律・推移律・反対称律

集合論とか離散数学の分野で反射律・対称律・推移律・反対称律というキーワードが登場する。 大学での授業では、とても抽象的に説明がされるので、そもそも何の話をしているのか理解できない、という状態になりがち。インターネット上を検索すると、それなり…

平面充填

平面を隙間なく敷き詰められる正多角形の頂点の数は3,4,6の3種類だけ。複数の正多角形を使ってよい場合、すべての頂点が同じ形をしている(各頂点に集まる正多角形の種類と順序が同じ)という条件では、次の8種類の敷き詰め方がある。これをアルキメデ…

主成分分析

主成分分析の手抜きな説明。主成分分析とは、データ群に対して、もっとも個々の特徴を比べやすい評価軸を決定しましょう。というもの。仮に、国語と算数のテストの点について、下のグラフのような分布が得られた場合、 国語はみんな同じような点数なので個々…

曲率半径

曲線のある場所の曲がり具合を表す指標の1つとして「曲率半径」がある。 これは、曲線の一部を円で置き換えたものと見なして、その円の大きさで曲がり具合を表す方法。円が大きければ緩やかなカーブで、円が小さければ急なカーブであると言える。 道路標識で…

円錐曲線

円錐を平面で切断すると、その切り方によって、いろいろな曲線が登場するので面白い。 上の図は英語版のWikipediaのページから。 (残念ながら日本語版Wikipediaにこの図はない) 上から順番に、円(Circle)、楕円(Ellipse)、放物線(Parabola)、双曲線(Hyper…

マルコフ過程、マルコフ連鎖

確率の話になると、必ずと言っていいほど登場するキーワードが「マルコフ過程」と「マルコフ連鎖」。 単語をいくら見ても何を意味するのかわからない。でも、あまり深く考えてつまづくよりも「マルコフ」=「確率の」と置き換えて読み進めてしまって、大した…

マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか

ネット上に、負数と負数の積が正になる理由がわからない。という内容の書き込みがあり、なるほど人によって気になる点は様々なのだな、と思った。試しに「マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか」を検索してみると、驚くほどたくさんのページがヒットす…