フーリエ級数展開の式を理解する
フーリエ変換。もう少し正確に書けば、ここでは「フーリエ級数展開」とは、
与えられた関数を三角関数(cos と sin)の足し合わせで表現する
というもの。
この直観的なイメージは下の図で表すことができる。
(図の出典:フーリエ変換の本質:MetaArt)
このように表現することの利点は過去のエントリに書いた。
ここまでの話は、文章を読むだけでも、なんとなく理解できる。
でも、いざ実際の教科書を開いてみると、見慣れない形の数式が出てきて当惑することになる。
今回は、この数式をどのように理解したらよいかを書いてみる。
今、手元にある教科書「理工系の数学入門コース フーリエ解析」に載っている式を取り上げる。
(この本はAmazonのレビューを見て分かる通り、理解しやすい構成で、初学者にはおすすめできる)
- 作者: 大石進一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/06/13
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 13回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
さっそく、次の式が登場する。
この式をどのように理解すればいいのだろうか。
次の記号
は、この後ろの
をnの値を変化させながら足し合わせることを言っている。
nは1から無限大までの値を取るから、
cos(x), cos(2x), cos(3x), ... のような、いろいろな周波数のcos波を足し合わせて、
さらに
sin(x), sin(2x), sin(3x), ... のような、いろいろな周波数のsin波を足しあわせる。
つまり、最初の式は次のようなことを言っている。
==
関数f(x)は、という何か定数と、様々なcos波とsin波の足し合わせで表現できる
==
様々なcos波とsin波を足し合わせることで、関数f(x)を表現できる。ということだ。
ただし、すべてのcos波、sin波を一様に同じだけ足し合わせるわけではない。
例えば、cos(x)は少し、cos(2x)はたくさん、というように、cos波の種類(周波数)に応じて、足し合わせの割合を調整する。
このような調整によって、任意の関数f(x)を、cos波とsin波の足し合わせで表現できる。
この足し合わせの割合は、式中のとで表されていて、cos(nx)にはを掛け算してから、sin(nx)にはを掛け算してから、足し合わせることを行う。
例えば、仮にの値が大きいとすると、関数f(x)はcos(3x)の成分をたくさん含んでいる(cos(3x)に似ている)ということを意味して、
仮にの値が小さいとすると、関数f(x)はcos(5x)の成分をほとんど含まない(cos(5x)に似ていない)ということを意味する。
改めて最初の式を見てみると、次のようなことがわかる。
==
関数 f(x) は、様々なcos波とsin波の足し合わせで表現できる。
どれくらいの割合で各周波数のcos波とsin波を足し合わせるかは、数列と数列で指定する
==
このことはつまり、
==
数列と数列によって、関数f(x)を表現できる
==
ということに他ならない。
この数列と数列は、関数f(x)が、どのような形をしているかに依存して、当然異なる数列となる。
では、この数列はどのように決定されるのだろうか。
- 作者: トレンドプロ,渋谷道雄,晴瀬ひろき
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 201回
- この商品を含むブログ (55件) を見る
- 作者: 馬場敬之,高杉豊
- 出版社/メーカー: マセマ出版社
- 発売日: 2012/06
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る