2つのボールをぶつけると円周率がわかる

一か月ほど前に New York Times で紹介されていた記事。

The Pi Machine - NYTimes.com

ここで紹介されているのは、なんと驚くべきことに、2つのボールをぶつけるだけで円周率(3.1415...)の値がわかる、という内容。


これだけだと、全然ピンとこないと思うので、もう少し詳しく説明すると、次のようなことが書かれている。


↓2つのボールを、下の図ように壁と床のある空間に置く。



↓その後、壁から遠い方のボールを、他方に向かって転がす。


後は、ボールが衝突する回数をカウントするだけで、円周率がわかるらしい。


これでも、なんだかよくわからない。


まず2つのボールが同じ質量である場合を考えてみよう。


まず、手前のボールが他方のボールにぶつかる(これが1回め)。

続いて、ぶつかったボールが移動して壁にぶつかる(これが2回め)。

壁にぶつかったボールが跳ね返ってきて、最初のボールにぶつかる(これが3回め)。


以上より、円周率の最初の数字「3」が求まった!


続いて、手前のボールが奥のボールの100倍の重さを持っているときのことを考えよう。

すると、手前のボールが奥のボールにぶつかった後、奥のボールは質量が軽いので、壁と手前のボールの間を何回か往復することになる。

そのあいだに発生する衝突の回数を数えると31回。


この様子をシミュレーションしたのが下の動画。


衝突のカウントが31なので、これで円周率の最初の2けた、3と1が求まった!!!


なんだか、きつねにつままれているような感じがするけど、
手前のボールと奥のボールの質量の比を10000:1にすると、今度は314回衝突を繰り返すらしい。

なんと、円周率の最初の3けたが求まった。


手前のボールと奥のボールの質量の比を1000000:1にすると、今度は3141回衝突を繰り返すらしい。

これで円周率の最初の4けたが求まった。


このようにして、100^N:1の質量比のボールをぶつけることで、円周率の小数点以下N桁目までを求めることができるらしい。


これは偶然ではなくて、立派な論文として2003年に発表され、証明もなされている。

おもしろいなあ。

http://ics.org.ru/doc?pdf=440


知的インテリア バランスボール

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円周率1000000桁表

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πの歴史 (ちくま学芸文庫)

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