数え上げの話
このブログでも紹介した動画「『フカシギの数え方』 おねえさんといっしょ! みんなで数えてみよう!」がネット上で、大きな話題になっている。
おねえさんが、ひたすら場合の数を数え続ける様子は、現実ではありえないながら、なぜかついつい見入ってしまう。
ものを数える、というのは人間の基本的な欲求の一つなのかもしれない。
なにかものがあると、ひとつ、ふたつ、と、つい数えてしまう人も多いことだろう。
僕は子供の時に、おもちゃのカウンターをもらったときに、とっても嬉しくて、とにかくいろいろなものを数えまくった。
セサミストリートに登場するカウント伯爵は、まさにこのような人間の特性を体現していると言えるかもしれない。
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ただの「数をかぞえる」という行為も、グラフ理論、組み合わせ論、離散数学など、数学の様々な分野で重要な役割を担っている。
ある性質を満たすものが、いくつあるかを数え上げるには、重複なく、余すところなく、正確にすべて数える必要がある。
例えば、正多面体は5種類である(正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体)。
これは事実であるが、もしかしたら、誰も知らない6種類目の正多面体があるかもしれない。
このような主張を否定するためには、「本当に5種類であって、それ以外のものは存在しない」ということを証明しなくてはならない。
これが数え上げの難しいところだ。
6種類以上の正多面体は存在しない。
このことが証明されているので、我々は正多面体は5種類であると言い切ることができる。
ときには正確な数をかぞえることが難しい場合もある。
このような場合は、「いくつ以上はある」そして「いくつ以下である」という幅を設けて数を指定することがある。
それぞれ、数学用語では下界と上界と呼ぶ。
正確な数がわからない場合は、この下界と上界の幅を狭めることが、ひとつの目標となる。
数え上げについては、その数が数式で求まる場合も多い。
でも、問題として取り上げられる数え上げには、通常そんなに簡単な解は無くて、時にはコンピュータによるしらみつぶしの数え上げが有効な場合(それしか方法がない場合)が多い。
例として、多面体の展開図のパターンを考えてみよう。
正六面体(立方体)の展開図のパターンは11種類であることが知られている。
では正20面体は? これは簡単には数えられないが、コンピュータを使うと、それほど難しくなく43380であることが確認できる。
このようなコンピュータによる数え上げは数学らしくないと感じるかもしれないが、
コンピュータによる数え上げによって証明された問題として「四色問題」がよく知られている。
「地図上の国を、同じ色が接することが無いように塗り分けるには、4色あれば十分である」
ということを証明するのに、コンピュータによる「総当たり」が使われた。
このように、数が有限であれば、その数を知りたくなるのが人間の生まれ持った性質なのかもしれない。
でも、数学はそれにとどまらず「無限」という概念を産み出した。
無限が登場すると、話は別世界へと飛躍する。
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