剛性理論(rigidity theory)

リンケージに関する剛性理論(rigidity theory)の話。

参考

幾何的な折りアルゴリズム―リンケージ、折り紙、多面体

幾何的な折りアルゴリズム―リンケージ、折り紙、多面体


あまり理解できていないので、まずは用語の整理。

■ 剛体運動(rigid motion)
リンケージ全体の形が変わらないまま移動すること。自明(trivial)な移動とも言う。

■ 柔軟(flexible)な配置←→剛堅(rigid)な配置
自明ではない動きを持つリンケージの配置を「柔軟な配置」と言う。そうでないときは「剛堅(rigid)な配置」と言う。または剛性(rigidity)を持つと言う。
グニャグニャ動くときは flexible。動かない場合は rigid

メモ
・配置の剛性を判定する問題は、配置空間において与えられた点が孤立点であるかどうかを判定する問題。
・リンケージの配置空間は代数的集合。つまり、配置空間が多項式方程式系で定義できる。
・剛性はリンケージの特定の配置に依存して決まる場合がある。バーの長さだけではなく、関節の座標も特定しないと、剛性を持ったり持たなかったりすることがある。


■ 一般剛性(generic rigidity)
リンケージのグラフ構造だけに依存する剛性(辺の長さや関節の座標とは無関係に決まる)

■ グラフの実現(realization)
グラフの関節に座標を割り当てること。「配置」と似た概念

■ 一般剛性(generic rigidity)をもつ
グラフがほぼすべての実現において剛性を持つ場合のこと。(特定の状況で剛性を持たないことも許容する)

■ 一般柔軟性(generic flexibility)をもつ
グラフがほぼすべての実現が柔軟である場合のこと。(特定の状況で剛性を持たないことも許容する)

メモ
・すべてのグラフは一般剛堅であるか一般柔軟であるかのどちらか
・一般剛性/一般柔軟性はグラフ構造だけに依存して決まる

■ 極小一般剛堅(minimally generically rigid)
リンクを1本でも取り除くと一般柔軟になってしまうグラフ

■ 余剰支柱(overbrace)
あってもなくても一般剛性/一般柔軟性の違いが変わらない余分なリンク

メモ
・任意の一般剛堅なグラフは極小一般剛堅なグラフを包含している

■ ヘンネベルクの定理
グラフが2次元で極小一般剛堅である必要十分条件は、そのグラフがヘンネブルクの構成方法によって構成できるときである

http://en.wikipedia.org/wiki/File:Henneberg_construction_of_Moser_spindle.svg

■ 大域剛性(global rigidity)
剛体運動や裏返しによって得られる配置以外に他の配置をもたない、という性質
与えられたリンケージ(グラフとリンクの長さ)だけから、その配置が一意的に再構成できる。再構成問題はNP困難。

■ 一般大域剛性(generic global rigidity)をもつ
グラフがほぼすべての実現で(ほぼすべてのリンク長の組み合わせで)大域剛性をもつこと

メモ
・4個以上の頂点からなるグラフが一般大域剛性をもつ必要十分条件は、そのグラフが3点連結で、かつ、どの1辺を取り除いても一般剛性をもつとき

■ 1次変位、微小変位
動きが微分可能であるとき、最初の時刻ゼロにおける動きの導関数。最初の動き始めの様子。

■ 微小変位の制約
それぞれのリンクの長さが1次の動きで変わらないという制約


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