70の法則、72の法則

複利運用で、元金を倍にするのに必要な期間を次の簡単な式で求めることができる。

金利(%)×年数=70 (または72)
それぞれ「70の法則」または「72の法則」と呼ぶ。
70と72という異なる値が使われるが、上記の式はあくまで概算なので、どちらも正確な値とは異なる。複利は指数関数的に値が増えるのであるから、そもそも簡単な掛け算で値がでるわけはない。
それぞれ、次のように使い分けるとよい。

金利がゼロに近い場合:70の法則
金利が10%に近い場合:72の法則

金利がほとんどつかない現在であれば、70の法則を参考にした方がよさそうだ。
つまり、金利が3%であれば「70÷3=23」の計算で、23年後に元金が倍になると見積もることができる。

では、この「70の法則」の「70」という値はどこから出てくるのだろうか。
以下で簡単に説明してみる。

金利をR%、元金が倍になる年数をnで表すと、次の式が成り立つ。
(1+\frac{R}{100})^n=2

両辺、対数をとって

n \log(1+\frac{R}{100})=\log(2)\approx 0.693

従って

n \approx \frac{0.693}{ \log(1+\frac{R}{100})}

ところで、xの値が十分小さいとき、次の式が成り立つ(これについては別エントリで紹介)。

\log (1+x) \approx x

今回\frac{R}{100}の値は小さいので、

\log(1+\frac{R}{100}) \approx \frac{R}{100}

と見なすことができる。

よって

n \approx \frac{0.693}{\frac{R}{100}}=\frac{69.3}{R}

このように、元金が倍になるのに必要な年数nは、69.3(約70)を金利Rで割った値に近いことが示せた。

実際の値と比較してみる。

金利(%) 70の法則 72の法則 実際の年数
0.5 140 144 139
1 70 72 69.7
2 35 36 35.0
3 23.3 24 23.4
5 14 14.4 14.2
7 10 10.2 10.2
10 7 7.2 7.27
12 5.8 6 6.12

上の表でわかるように、5%までは、70の法則が正確で、5%を超えた場合は72の法則が正確であることがわかる。

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