数学学習の道しるべ

大学受験までの数学は得意だったのに、大学の数学で道をはずしてしまって、さっぱり理解が追いつかなくなった。という方は意外に多いのではないだろうか。
特に理工系の学生は、大学数学の知識が他の科目にも必要とされることが多いため、数学で躓いてしまうと影響が大きい。

大学の数学は、「微分積分」「ベクトル解析」「線形代数」「複素関数」「確率・統計」その他さまざまな分野があり、それぞれの関係を把握するのが難しい。
また、大人になってから大学レベルの数学を学習し直そうとした時に、なにから手を付けていいのかわからない、ということが多い。

そこで、なんとなくイメージをつかむ上で手助けになるのが次の図。


(出典:理工系の数学入門コース(岩波書店))

この図は「理工系の数学入門コース(岩波書店)」シリーズの各巻の前書きに登場する。
意外とありそうでなかった。

数学の世界はもっと広いが、理工系の学生が必要とする内容は、このようなイメージでとらえて十分であろう。
たいていの大学のカリキュラムも、まずは微分積分線形代数(図の「行列と1次変換」)から始まるようになっている。
物理を学ぶ上では避けて通れない「ベクトル解析」は、その後に位置する。
このマップを参考に、学習する内容を広めて行くとよい。

「理工系の数学入門コース」シリーズは、そのタイトルの通り、理工系を対象とした数学の入門書だ。「役立つこと」を優先して書かれた教科書であるから、簡潔でシンプルな構成となっている。

以下、前書きの一部を引用して紹介しよう。

数学の勉強は外国などでの生活に似ている。はじめての町では、知らないことが多すぎたり、言葉がよく理解できなかったりで、何がなんだか分からないうちに一日が終わってしまう。しかし、しばらく滞在して、日常生活を送って近所の人々と話をしたり、自分の足で歩いたりしているうちに、いつのまにかその町のことが分かってくるものである。

数学もこれと同じで、最初は理解できないことがいろいろあるので、「数学はむずかしい」といって投げ出したくなるかもしれない。これは氏ららない町の生活になれていないようなものであって、しばらく我慢して想像をはたらかせながら様子をみていると、「なるほど、こうなっているのか!」と納得するようになる。なんども読み返して、新しい概念や用語になれたり、自分で問題を解いたりしているうちに、いつのまにか数学が理解できるようになるものである。あせってはいけない。 (編者 戸田盛和、広田良吾、和達三樹)

微分積分 (理工系の数学入門コース 1)

微分積分 (理工系の数学入門コース 1)

行列と1次変換 (理工系の数学入門コース 2)

行列と1次変換 (理工系の数学入門コース 2)

ベクトル解析 (理工系の数学入門コース 3)

ベクトル解析 (理工系の数学入門コース 3)

常微分方程式 (理工系の数学入門コース 4)

常微分方程式 (理工系の数学入門コース 4)

複素関数 (理工系の数学入門コース 5)

複素関数 (理工系の数学入門コース 5)

フーリエ解析 (理工系の数学入門コース 6)

フーリエ解析 (理工系の数学入門コース 6)

確率・統計 (理工系の数学入門コース 7)

確率・統計 (理工系の数学入門コース 7)