重心座標系(Barycentric coordinate system)
三角形ABC内の点Pを、別の三角形A'B'C'内の、それっぽい場所P'に対応させたい。
P'の位置はどのように決めたらいいだろうか。
それっぽい場所。。って、曖昧すぎる。
そこで、重心座標系(Barycentric coordinate system)が用いられる。
三角形ABC内の任意の点Pの座標は、
P=αA+βB+γC
の形で表現できる。
つまり、三角形の各頂点座標の線形和。
3つの係数だけで位置が決まるので、
P=(α,β,γ)
という形で表現することができて、
これを重心座標と言う(重心の座標ではなくて、重心座標系で表した時の座標値ということ)。
三角形の3つの頂点を参照して位置を決める方法なので、
P'=αA'+βB'+γC'
とすれば、三角形ABC上の点Pと、三角形A'B'C'上の点P’をうまく対応付けすることができる。
(三角形ABC上全体が、三角形A'B'C'全体に1対1対応する)
では、重心座標(α,β,γ)は、どのように算出されるだろうか。
2次元図形の三角形内の座標を表すのに、変数は3つもいらないので、
α+β+γ=1
として
γ=1−αーβ
と表す。
点A,B,Cのx,y座標をそれぞれAx,Ay,Bx,By,Cx,Cyとし、点Pの座標をPx,Pyとすると、α,β,γは次の式で求められる。
α={(By-Cy)(Px-Cx)+(Cx-Bx)(Py-Cy)}/{(By-Cy)(Ax-Cx)+(Cx-Bx)(Ay-Cy)}
β={(Cy-Ay)(Px-Cx)+(Ax-Cx)(Py-Cy)}/{(By-Cy)(Ax-Cx)+(Cx-Bx)(Ay-Cy)}
γ=1−αーβ
この式の導出については英語版Wikipediaに詳しい。
http://en.wikipedia.org/wiki/Barycentric_coordinate_system
α,β,γの値と、それに対応する点には次の関係がある。
・ 三角形内部の点はα、β、γの値がすべて0と1の間に収まる。
・ いずれかの値が0のとき、三角形の辺上の点となる。さらに、いずれの値が1であれば、三角形の頂点に重なる。
・ 上記以外の場合(0より小さいまたは1より大きい値がある場合)は三角形の外側の点となる。
ちなみに、重心座標系という名前がついている理由は、各点にα、β、γの重さの点を置いた時の重心が点Pになるため。
ここで示したのは代表的な例で、2次元である必要はないし、図形が三角形である必要もない。
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