はじめてのAIプログラミング〜C言語で作る人工知能と人工無能〜

はじめてのAIプログラミング〜C言語で作る人工知能人工無能

はじめてのAIプログラミング―C言語で作る人工知能と人工無能

はじめてのAIプログラミング―C言語で作る人工知能と人工無能

C言語によるプログラムコードが掲載されている人工知能に関する書籍と言うことで、もの珍しさから一読してみた。



人工無能とは、「単なる文字列処理によって、一見すると会話として成り立つような、やりとりを実現するプログラム」のことで、コンピュータは文章の内容を理解しない。

帯には「脱人工無能宣言〜人工無能から人工人格へ〜」とあるけど、
そんなにたいそうなものではなくて、あくまで人工無能の話。

書籍の内容は、人工知能とはちょっとちがう。という気がする。


そうは言っても、コンピュータと会話したい、という夢を実現するための最初の一歩としては、それなりの価値がある。

一般的な人工知能の書籍では、「実際のプログラムはどうやって作るの?」という点が不明なので、読み終わった後にも、なんだかモヤモヤした気持ちが残りがちだ。

その点本書では、まさにそのままズバリのプログラムコードが掲載されているので、これ以上に無いくらいに具体的だ。
いざとなったら、自分でプログラムコードをコンパイルしてすぐに動作確認できる。


ただ、せいぜい100行や200行くらいのプログラムコード(しかも行数が多くなりがちなC言語!)で、実現できる機能はたかが知れている。
人工無能としても、かなり残念なレベルのやりとりしか実現できていない。

(だからこそ、読者に「もっと良いものを作りたい! 」という意欲を喚起させる良書と言えるかもしれない!?)


自然言語処理の基礎となる形態素解析を、「ひらがな、漢字、カタカナの変化点で区切ることで実現する」という単純極まりない方法で行っているので、この時点で限界が察せられる。

そもそも、C言語は文字列処理に不向きだし、プログラムコードの中には本質的でない処理が多分に含まれる。
プログラムコードを追いかけながら処理を理解するのは、かなり億劫なので、疑似コードで簡潔に説明してくれた方が有り難い気もする。


というような欠点も気になるのだけど、でもやっぱり

「そのままズバリのプログラムコードが掲載されている」

という点は評価すべきだろう。


文章も平易で読みやすく、人工知能(というか人工無能、つまりはテキスト処理)についての第一歩を踏み出すには、手ごろに感じる。
2,3時間もあれば、全体に目を通して、人工無能の作り方の基礎の基礎は理解できるはずだ。


はじめてのAIプログラミング―C言語で作る人工知能と人工無能

はじめてのAIプログラミング―C言語で作る人工知能と人工無能


本書は次のような読者にはお勧めできる。

人工無能(文字列を介したコンピュータとの会話)に興味がある
・具体的なプログラムコードを見てみたい
人工知能に関する知識がほとんどなく、基礎の基礎を覗いてみたい




もう少し実践的な自然言語処理について学びたい方は次の本がお勧め。
既存の各種ライブラリを上手に組み合わせ、Pythonによる実践的なプログラム開発を行う方法を学ぶことができる。

入門 自然言語処理

入門 自然言語処理

入門 自然言語処理