フーリエ級数展開の式を理解する

フーリエ変換。もう少し正確に書けば、ここではフーリエ級数展開とは、

与えられた関数を三角関数(cos と sin)の足し合わせで表現する

というもの。


この直観的なイメージは下の図で表すことができる。

(図の出典:フーリエ変換の本質:MetaArt

このように表現することの利点は過去のエントリに書いた。


ここまでの話は、文章を読むだけでも、なんとなく理解できる。


でも、いざ実際の教科書を開いてみると、見慣れない形の数式が出てきて当惑することになる。

今回は、この数式をどのように理解したらよいかを書いてみる。


今、手元にある教科書「理工系の数学入門コース フーリエ解析」に載っている式を取り上げる。
(この本はAmazonのレビューを見て分かる通り、理解しやすい構成で、初学者にはおすすめできる)

フーリエ解析 (理工系の数学入門コース 6)

フーリエ解析 (理工系の数学入門コース 6)



さっそく、次の式が登場する。

この式をどのように理解すればいいのだろうか。


次の記号

は、この後ろの

をnの値を変化させながら足し合わせることを言っている。

nは1から無限大までの値を取るから、
cos(x), cos(2x), cos(3x), ... のような、いろいろな周波数のcos波を足し合わせて、
さらに
sin(x), sin(2x), sin(3x), ... のような、いろいろな周波数のsin波を足しあわせる。

つまり、最初の式は次のようなことを言っている。

==
関数f(x)は、\frac{a_0}{2}という何か定数と、様々なcos波とsin波の足し合わせで表現できる
==


様々なcos波とsin波を足し合わせることで、関数f(x)を表現できる。ということだ。


ただし、すべてのcos波、sin波を一様に同じだけ足し合わせるわけではない。

例えば、cos(x)は少し、cos(2x)はたくさん、というように、cos波の種類(周波数)に応じて、足し合わせの割合を調整する。
このような調整によって、任意の関数f(x)を、cos波とsin波の足し合わせで表現できる。

この足し合わせの割合は、式中のa_nb_nで表されていて、cos(nx)にはa_nを掛け算してから、sin(nx)にはb_nを掛け算してから、足し合わせることを行う。

例えば、仮にa_3の値が大きいとすると、関数f(x)はcos(3x)の成分をたくさん含んでいる(cos(3x)に似ている)ということを意味して、
仮にa_5の値が小さいとすると、関数f(x)はcos(5x)の成分をほとんど含まない(cos(5x)に似ていない)ということを意味する。


改めて最初の式を見てみると、次のようなことがわかる。

==
関数 f(x) は、様々なcos波とsin波の足し合わせで表現できる。
どれくらいの割合で各周波数のcos波とsin波を足し合わせるかは、数列\{a_n\}と数列\{b_n\}で指定する
==

このことはつまり、

==
数列\{a_n\}と数列\{b_n\}によって、関数f(x)を表現できる
==

ということに他ならない。


この数列\{a_n\}と数列\{b_n\}は、関数f(x)が、どのような形をしているかに依存して、当然異なる数列となる。
では、この数列はどのように決定されるのだろうか。

つづく・・・


マンガでわかるフーリエ解析

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