人工知能と人工生命の基礎(2)

昨日のエントリの続き。

人工知能と人工生命の基礎

人工知能と人工生命の基礎

(書籍に書かれている内容と、それを読んで私自身が理解した内容が混在してます)

■推論
論理的推論は人工知能の得意とする分野。
文章で記述される内容を論理式で表現することで、それから導き出される論理を推定することができる。
3個の命題からなり、2つの前提から1つの結論が真であることを導き出す3段論法などを、論理式で表現することができる。
人間は3段論法すらまともにできないことがあるから、人工知能の方が知的であると言えるかもしれない。
幾何学図形の推論は、人工知能は強力。
図形の証明問題(例えば、図形に含まれる、ある2辺の長さが等しいことを示す、というような問題)を、前提となる知識から導き出すことが実現している。
証明には、人間がとても扱いきれないような複雑な代数学的なアプローチが用いられることもある。
この点においても、人工知能が人間の能力を上回る。
今後、数学の分野の発展に人工知能が大きく貢献する可能性がある。

■ランダムネス
コンピュータの強みの1つとして、膨大な数の試行を短時間で行えることが挙げられる。
知的とは思えないランダムな試行であっても、それを膨大な数だけ繰り返し、そこから得られる知見を抽出することで、知的な結果を得ることができる。
例えば、囲碁の対局を行うソフトウェアにおいて、最近ではランダムな試行を取り入れたモンテカルロ木探索が有望視されている。
これは、「良い手は、その後ランダムに適当にゲームを進めても勝つ可能性が高い」という考えに基づくもの。
ランダムに膨大な数の手をシミュレーションして、その結果勝率がよいのであれば、それは良い手であろう、と考える。
囲碁以外のゲームでも有効性が示されている。

昔の偉大な物理学者たちは、さまざまな物理法則(物理的な現象の数式による表現)を発見してきた。
これらの多くは、四則演算や、sin,cos,logなどの解析的関数および定数の組み合わせによる、簡単な数式で表される。
そのため、測定データを入力とし、それらを再現可能な変数や演算子の組み合わせをコンピュータに再発見させる試みがなされ、
多くの成果を上げた。たとえば、コンピュータはオームの法則ケプラーの第3法則、運動量保存則、ジュールの法則などを発見することができた。
人工知能によって新しい物理法則を発見できる可能性がある。