固有ベクトル・固有値

線形代数を含め、様々なところで顔を出す固有値固有ベクトル
そもそも、固有値固有ベクトルとは何者なのだろうか?


行列は、あるベクトルを、異なるベクトルに変換する。


たいていの場合、行列による変換前のベクトルと、変換後のベクトルは違う方向を向く。


だけど、いろいろなベクトルを変換させてみると、どういうわけか変換前と変換後で向きが変わらないようなベクトルがまれに存在する。
このような特別なベクトルを「固有ベクトル」と呼ぶ。

変換の前後で向きが変わらない特別なベクトルというのは、行列によって異なる。
行列ごとに固有のベクトルなので、「固有ベクトル」と言う。


下の図を見てみよう。
左側の図に行列 を適用すると、
右側の図に変換される。

よく見ると、次のことが分かる
・青い矢印(ベクトル(1,1))は向きが変わっていないで長さが2倍になっている。
・ピンクの矢印(ベクトル(1,-1))は向きが変わっていない。長さも変わっていない(1倍)。
・それ以外の赤い矢印は、向きが変わっている。

上記のように、行列 によって、
向きが変わらないベクトルが2つあった。
この二つのベクトル(1,1), (1,-1)が行列固有ベクトルである。
(n行n列の行列には、たいていn個の固有ベクトルがある。)

固有ベクトルは、向きが変わらないけど、大きさは変わった。
この倍率を、「固有値」と呼ぶ。
つまり、固有ベクトル(1,1)の固有値は2であり、固有ベクトル(1,-1)の固有値は1。

1つの固有ベクトルに、1つの固有値が対応する。

※ ほんとどの教科書やWebページで「固有値固有ベクトル」というように、固有値が先に書かれているけど、「固有ベクトル固有値」と書いた方が、固有値の意味がわかりやすいと思う。


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