変分法

変分法とは、値を最小とする最適な関数を求める方法。

通常の最適化問題は、

y(x)=x^2-6x+1 の値を最小とするxの値は?

のように、値を最小とする最適な変数を求めるけど、変分法では最適な関数(式の形)を求めることが目的になる。


例としてよく挙げられる問題に

適当な2点をボールが最も早く転がり抜ける曲線はどのような式(関数)で与えられるか

という「最速降下曲線」を求めるものがある。
(直線や円弧、放物線のような単純な曲線ではない)

この問題は「最適な関数を求めよ」という問題であって、高校数学では出てこないタイプの問題なので大学に入ったばかりのときには何をどうしていいのか、さっぱりわからない。

このような問題を解く方法として変分法がある。

ただし、どのような関数も変分法で解が求まるわけではない。
変分法とは、変数xと、その関数 y(x)、およびその導関数y'(x)によって表される次の積分

 I=\int^{x_2}_{x_1}F(x, y(x), y'(x)) dx

の値を極小にするような関数y(x)を求める方法。

なので、x, y(x), y'(x) の関係が明らかであって、目的が
「ボールが最も早く転がり抜ける=微小長さを移動するのに要する時間の積分が最小になる」
のように、積分の形に表される場合に限られる。
(2階以上の微分が含まれる場合でも解ける)
さて、これをどのように解くのだろうか。
具体的な解法は他所に譲るとして、直観的なイメージとしては次のような感じ。

曲線の形をちょっとずつ変えていって「もうこれ以上の小さい値にはならない」という形を探し出す。

この「これ以上小さな値にならない」という条件を式に表すと(この説明も他所に譲る)、次のようなオイラー微分方程式と呼ばれる形で示される。

\frac{d}{dx} (\frac{\partial F}{\partial y'}) - \frac{\partial F}{\partial y} = 0

したがって、この微分方程式を解くことで、最適な関数y(x)を求めることができる。


参考
変分法1:物理のかぎしっぽ
最速降下曲線:物理のかぎしっぽ

偉大な数学者たち (ちくま学芸文庫)

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マンガ おはなし数学史―これなら読める!これならわかる! (ブルーバックス)

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