数学教科書紹介「数学:物理を学び楽しむために(田崎晴明 著)」

物理の学習をするために、数学の知識は必須であり、大学に進学してから学ぶべきことは多い。
そのための知識を効率的に学べるように編纂された数学教科書のPDFファイルが、次のページで無料で公開されている。

■ 数学:物理を学び楽しむために (学習院大学 田崎晴明教授)
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/mathbook/

これは学習院大学理学部物理学科の田崎晴明教授によるもので、全体で600ページ以上の大著だ。
2004年に執筆に着手し、それ以降は継続してアップデートされている。
現在は2012年3月に更新された最新版が公開されており、構成は次の通り。

・関数や収束についての基本(2 章)
・一変数関数の微分とその応用(3 章)
・座標、ベクトル、線形代数(5 章、6 章)
常微分方程式(4 章、7 章)
・ベクトル解析(8 章)

次の文章は、上記ページでも紹介されている本書の冒頭の一節。

「物理をやりたくて大学に入ったのに、どうしてこんなに数学をやるんだ」という声を、毎年のように大学一年生から聞く。 われわれの答は、決まっている。 「必要だから。」
物理を語るための言語が、物理を学び研究するための基本の技術が、物理を楽しむための基礎体力が、数学なのだ。 凡庸(ぼんよう)なたとえだけれど、数学という基礎技術なしに物理の世界に入りこむのは、登山の技術ゼロで高い山に探検にいくようなこと、あるいは、水泳経験ゼロで大海原に泳ぎ出すようなことである(脚注:たとえ登山技術ゼロでも、実際に山に行って試行錯誤をつづければ、いずれは登山に必要な体力もつくし、登山の方法を独自に編み出せるはずだと反論する人がいるかもしれない。 それは完璧に正しい。 人類は、まさにそうやって試行錯誤しながら物理や数学を発展させてきたのだ --- 猛烈に長い時間をかけて。)。 だから、数学を学ぼう --- 物理を学び、語り、そして、楽しむために。

このような熱意とともに、精力的に執筆された本書を無償で公開されている田崎晴明教授に敬意を払いたい。







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