等角写像

まずは2次元に限っての話。
写像によって、ある図形が他の図形に写される。
このときに、元の図形に含まれる2つの直線の成す角度が、写された後でも変化しない写像等角写像(conformal transformation, conformal map, angle-preserving transformation)という。
英語での「angle-preserving transformation」という表現が一番わかりやすいかもしれない。

Wikipedia の図の例は次のような感じ。

上側の図では、縦と横の直線群が互いに直交している。
関数fによって得られる写像では、直線が曲線に写されているけど、交点付近をよーーく見てみると、局所的には2つの直線が直交している。
つまり、2つの線分の成す角が、写像の前後で変化しない、ということになる。

このような関数fは、特殊でもなんでもなくて、いくらでもありふれている。
複素数を受け取って複素数の値を返す関数で、それが正則関数であれば、その関数による写像は等角写像である。

正則関数ってなんだっけ?

正則関数とは、すべての点において微分可能であること。

例えば、f(z)=1/z とか、f(z)=z^2/2 など、このような簡単な関数は、すべての点で微分可能であって、正則関数だから等角写像である。

Wolfram MathWorld では、等角写像の例として、次のものが紹介されている。

これらの図は、もともとは赤い線と青い線が直交する格子パターンが、関数fによって、どのように写されるかを示している。
全体的には大きくゆがんでいるように見えるが、赤い線と青い線の交わる個所をよーーく見てみると、2つの線は直交していることが確認できる。

このような等角写像は、流体の挙動を表すのに有用であることが知られている。

「どうして正則関数だと等角写像なのか?」
「流体の挙動と、どのように関係があるのか?」
という点については、次のPDFファイルが参考になる。

■ 数学Tips 〜等角写像(Conformal map)と流体力学への応用例〜 KENZOU
http://hb3.seikyou.ne.jp/home/E-Yama/ConfMap.pdf

ふしぎな模様の描き方

ふしぎな模様の描き方

エッシャーの宇宙

エッシャーの宇宙