そうだったのか!現代史

そうだったのか!現代史 (集英社文庫)

そうだったのか!現代史 (集英社文庫)

今更紹介するのも気がひけるが、この本を読んだことが無い人は、ただちに一読することをお勧めする。
池上彰氏ならではの読みやすい表現で、近現代の世界の動きがわかりやすく説明されている。
私たちの日常のペースに比べると、世の中の動きはゆっくりに見えるため、ある出来事が起こった時に、その背景を大局的に理解することは難しい。
ベルリンの壁」の崩壊は、どのような点で世界的に大きな出来事だったのか、そもそもベルリンの壁はどのような理由で作られたのか。できごと自体は知っているのに、その背景を改めて問われると答えに窮してしまう。このような内容に、明快な解説が付され、そうだったのか、と思うことが数多い。
扱われている事柄は、湾岸戦争、冷戦、東西ドイツスターリン、中国と台湾の対立、朝鮮戦争キューバ危機、文化大革命など18項目。
2000年にハードカバーで発売されたものが文庫本化され、その際に2000年以降の動きが加筆された。文庫本版では、その後約7年間の動向を知ることができる。

国と国の争い、国内情勢の大きな変化は、5年または10年単位でゆっくりと進むため、その時代に生きていたとしても、意外と変化に気づかないものだ。しかし、世界は確実に、ゆっくりと、そして大きく動いている。戦後には社会主義国家という、人類にとって最大の実験が行われ、そしてその制度は失敗に終わった。このような、果てしなく規模の大きな実験を積み重ねることで、人類は文明を発展させ、豊を築いてきた。未来を見据えるうえで必要な、これらの重要な現代史が、残念ながら教育の現場でほとんど扱われないのは嘆かわしい。視野を広く持ち、現在の世の中の動きを俯瞰するうえで、私たちが必ず読むべき書と言える。このような現代史の解説書が、文庫本として誰でも安価に手に入れられる時代になったことに、わずかながらの希望が見出せる。それこそが、著者の池上氏が望んだことだろう。歴史は私たちが生きているまさに今、作られている。

そうだったのか!現代史〈パート2〉 (集英社文庫)

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そうだったのか!日本現代史 (集英社文庫)

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