曲線・曲面の連続性

滑らかな曲線・曲面は美しい。
私たちの身のまわりの製品には、滑らかな曲面を持ったデザインが多い。
その最たるものは車のボディだろう。最新の車の多くは流れるように美しい曲面から構成されている。

では、この「滑らか具合」はどのように評価したらいいだろうか。
これは数学の分野の「微分」と密接な関係を持っている。

曲線・曲面が連続な関数で表現されているとすると、1階微分すると接線が得られ、傾きがわかる。
そして2階微分すると曲率がわかり、どの程度曲がっているかを知ることができる。

この曲率が連続的に変化する場合、我々人間は、それを十分に滑らかだと知覚すると言われている。
つまり、3階微分までは考慮する必要は無く、2階微分した値が連続ならば、その曲線・曲面は滑らかだと言える。
3階以上の微分値については、それが連続でも、そうでなくても、我々人間にはその違いはよくわからない。

そのため、工業製品の設計または2次元のドローソフトによる線画描画では、3次の多項式関数が用いられることが多い。3次あれば2階微分した値を制御できる。具体的には3次ベジェ曲線などがあり、これはAdobe Illustratorなどで曲線を描く際に標準的に用いられる。

■C2連続
2階微分した値が連続であることをC2連続である。と表現する。これは、曲率が連続であるということで、十分に滑らかであることを意味する。

■C1連続
1階微分した値だけが連続である場合はC1連続である。これは、傾きが連続であるということで、角張った点が無いということを意味する。

■C0連続
0階微分した値(つまり微分を1回もしていない、そのままの値)だけが連続である場合はC0連続である。これは、値が飛び飛びになって穴が開いたりはしていない、とりあえずつながっている、という最低限の保証を意味する。

CADの世界では、数学的に厳密にC1,C2連続ではないが、既定の閾値の範囲でその連続性を保証できる曲線・曲面にG1,G2連続という表現を行う。


このような数学的な背景を持ったCADにまつわる話が、株式会社O2のWebサイト上にまとめられていて、大変興味深い。
例えば、今回の連続性に関する話は、次のページでわかりやすく説明されている。

■ 3次元図形処理技術解説 第5回 曲線の曲率連続性


曲線と曲面の微分幾何

曲線と曲面の微分幾何