数学

Mathematicaの中身

数学の研究は、紙と鉛筆と人間の頭脳だけで進められていると思いがちだけど、 最近は、数式処理を行うソフトウェアを活用する例も多いらしい。特にWolfram Mathematicaは秀逸で、大学などでも広く使われている。Mathematicaのオンライン版とも言える、Wolfra…

ミレニアム懸賞問題

アメリカのクレイ数学研究所によって、7つの数学の難問に対して100万ドルの懸賞金がかけられている。 懸賞金を日本円にすると約8000万円。そのうちの1つ、ポアンカレ予想(The Poincare Conjecture)についてはペレルマンによって解かれ、一大ニュースになっ…

ラプラス変換とは

フーリエ変換の後にラプラス変換を学習することが多い。フーリエ変換は、任意の波形を周波数の異なる正弦波の重ねあわせに変換できる。ということで、その目的も利点もわりと明確でわかりやすい。 より具体的なわかりやすい説明として、こちらをおすすめ 「…

Wolfram Alpha で積分の問題を解く

以前にも紹介したWolfram Alphaは、やはりすごい。 大学レベルの積分問題もあっという間に解くことができる。たとえば、を解いてみよう。ちなみにこの問題は、こちらから取ってきたもので、解答は次のようになっている。簡単な問題ではない。さて、これが本…

共役勾配法

まず最急降下法について。最適化問題の局所的探索法に最急降下法がある。 この最急降下法の考え方は次のような感じ。「最も勾配が急な方向に進みましょう。その方向で一番低い場所に到達したら、進む向きを変えましょう。新しい方向は、その地点で最も勾配が…

大人の100ます計算:100ます積分!

足し算、引き算の100ます計算は小学生まで。 大人の100ます計算は積分だ。というわけで、積分の100ます計算「初等函數百升積分」が次のWebページに公開されている。 http://teruteru.bakufu.org/100integration.htm問題の作者自身は、実際に解答を作っていな…

αエラーとβエラー

キーワード:αエラー、βエラー、偽陽性、偽陰性、第一種の過誤、第二種の過誤、ベイズ推定 例として、肝臓癌の検査を取り上げてみる。検査結果が100%正しいことはなく、結果には誤りが含まれる。検査の誤りには次の2通りがある。(A) 「肝臓癌ではないのに、…

QR分解

QR分解とは、n x nの正方行列を直行行列と上三角行列の乗算に置き換えること。 次のような感じ。 幾何学的には直行行列は回転を表し、上三角形行列は拡大・縮小とせん断(スキュー)を表すので、ある行列による変換(線形変換)が、どのように基本的な変換を…

アフィン変換とは

幾何学の分野で、ある図形を回転させたり引き延ばしたりする変換をアフィン変換と呼ぶ。 もう少しきちんと説明すると、「アフィン変換とは平行移動と線形変換を組み合わせた変換」のこと。 平行移動はわかるけど、線形変換って? 線形変換とは、「変換の前に…

エルミート行列

キーワード:エルミート行列、自己随伴行列、線形代数、シャルル・エルミートエルミート行列とは何か?と言った時に次のように説明できる。エルミート行列(自己随伴行列)→自分自身と随伴行列が等しい行列随伴行列→転置行列の成分をすべて共役複素数に取り…

LU分解

キーワード:行列、LU分解、下三角行列、上三角行列■LU分解(LU decomposition)とは LU分解とは、次式のように行列Aを下三角行列L、上三角行列Uの積で表すこと。A=LULはLower Triangular Matrix 、UはUpper Triangular Matrix の頭文字。次のようなイメージ…

微分と積分の公式

大学数学で最初に学ぶのが解析。 微分と積分の公式を簡潔にまとめたものが無いかと検索した結果、次の大矢建正氏によるまとめが、十分な種類を網羅しつつ、すっきりまとまっていてよい印象を受けた。■公式(微分) http://www.h6.dion.ne.jp/~ooya/Suugaku/K…

コンパクト性、開被覆

■キーワード:集合、位相、コンパクト、被覆、開被覆集合、位相の学習で「コンパクト」というキーワードが登場する。 「位相空間の部分集合について、その任意の開被覆が有限部分被覆を持つことをコンパクトと言う。」 こういわれても、すぐにはピンとこない…

数式の読み方

ずいぶん前に「英語での数式の読み方」というエントリで、上智大学の理工学部で公開されている「英数字数式の読み方、および用語集」のPDFファイルを紹介した。このPDFは20ページで構成されていて、基本的な数式の読み方が紹介されている。英語で数式を読む…

円周率計算プログラム

円周率を計算するプログラムが次のWebページで紹介されている。■円周率計算プログラム「スーパーπ」 http://www1.coralnet.or.jp/kusuto/PI/super_pi.htmlこのプログラムは、昨日のエントリで紹介した、円周率計算の第一人者である東京大学の金田氏の研究室…

曲率

平面上の曲線がどのくらい曲がっているかを表す値として「曲率」がある。■ 曲率とは、「曲線のある部分を円弧で近似した時に、その円の半径rの逆数(1/r)」で表される。■ そうは言っても、曲線がパラメトリック曲線で与えられたときに、任意の点の近傍を円弧…

円周率の日

本日3月14日は円周率の日。 円周率100万桁が印刷された書籍。数字が延々と並ぶページをめくるだけで、何か感じるものがあるかも。 定価は税抜き314円

グレブナー基底

本日の学習キーワード。グレブナー基底。 そのままでは解くのが難しい多変数多項式の計算を、より簡単な多項式(グレブナー基底)に変換して解くことができる。 コンピュータで数式を代数的に解くときなどに使われる。■ グレブナー基底(Wikipedia) a.wikip…

ドリルで四角い穴をあけるには

わかりやすくておもしろい。■ How to Drill a Square Hole (YouTube) こちらもお勧め。 ■ Mechanical Principles (1930) by Ralph Steiner [4min selection](YouTube)

サイクロイド

直線上を転がる円の上の点が描く軌跡の1つに、下図のようなサイクロイド(cycloid)がよく知られている。これは日本語では擺線(はいせん)と呼ぶらしい。今まで知らなかった。円の内部に点があるとすると、下図のような曲線を描き、これをトロコイド(troch…

ハミルトン路 Hamiltonian path

ハミルトン路(Hamiltonian path or traceable path)は、無向グラフに含まれる全ての頂点を1度ずつ通るpathのこと。 全ての頂点を1度ずつ通って、再び最初の頂点に戻ってくる閉路のことをハミルトン閉路(Hamiltonian cycle)と言う。■ハミルトン閉路(Hami…

Googleの面接試験? 男の子と女の子の人口比率

もう4年も前の話題になるので、ずいぶん出遅れた感はあるけど、Googleの面接試験で出された問題に次のようなものがあったらしい。 ある国では人々は生まれてくる子には男の子だけを欲しがりました。そのため、どの家族も男の子を産むまで子供を作り続けまし…

Google 検索のグラフ描画機能

12月5日のGoogle検索オフィシャルブログで、グラフ描画機能が紹介された。■Showing some love to math lovers http://insidesearch.blogspot.com/2011/12/showing-some-love-to-math-lovers.html Googleの検索欄に数式を入れると、そのグラフが描画されると…

17パターンの繰り返し紋様 (Wallpaper group)

■キーワード:繰り返し、パターン、Wallpaper group、対称下図のような、対称性と繰り返しを持つ幾何学的なパターンは壁紙などの装飾でよく見かける。 ある図形を、そのまま並べたり、または反転させたり、鏡映にしたりして平面を敷き詰める「方法」は、全部…

ハウスドルフ距離 (Hausdorff distance)

ネット上を検索しても、あまり情報が見つからなかったので簡単なまとめ。ハウスドルフ距離とは、2点間の距離ではなく、2つの「集合」の間の距離を表すもの。英語版Wikipediaでは次の式で表現されている。 sup, infを知らないとパッと見ただけでは分かりにく…

ハートの方程式

次のような数式で表現される曲線が綺麗なハート型になる。 誰が考案したものか不明だけど、海外では「The Love Formula」と呼ばれているようなので、直訳すれば「愛の方程式」と言ったところ。 先日のエントリでも活躍した、WolframAlphaにさっそく式を入れ…

ケンタッキーフライドチキンのチキン重量は正規分布?

昨日のエントリで、「2,235,197,406,895,366,368,301,559,999分の1の確率で起きたトランプの奇跡(ロケットニュース24)」についての検証を行ったばかりだが、その直後に同じく「ロケットニュース24」で紹介された記事が、また確率・統計に関係しそうな…

2,235,197,406,895,366,368,301,559,999分の1の確率で起きたトランプの奇跡?

こんな記事があった。■2,235,197,406,895,366,368,301,559,999分の1の確率で起きたトランプの奇跡 (ロケットニュース24) http://rocketnews24.com/2011/12/03/159042/記事の内容を簡単にまとめてしまうと、次のような感じ。 「シャッフルした52枚のトラ…

フレネ・セレの公式

キーワード:フレネ・セレの公式、接ベクトル、主法線ベクトル、従法線ベクトル、曲率、捩率3次元曲線上の点における幾何学的な性質を表すベクトルとして、下図のように3つのベクトルが定義される。 (出典:Wikipedia)図中のT,N,Bが表すものはそれぞれ次の…

モンテカルロ法

モンテカルロ法は、乱数を用いて数学的な問題の解を得る方法だ。 数学という厳密な世界に乱数を用いるという点に違和感を覚えるが、難しい計算の解を簡単な方法で(近似的に)求められる優れた利点がある。一般によく知られるのは、次の図のように単位正方形…